小児の便秘症

2015.10.02

小児外科 奥村 健児

ここでは小児の便秘症についてお話していきます。
まず、国際的な基準であるRomeⅢという分類では以下のように小児の慢性便秘が定義されています。

4 歳未満の小児では、以下の項目の少なくとも2 つが1 か月以上あること
1.1 週間に2 回以下の排便
2.トイレでの排便を習得した後、少なくとも週に1 回の便失禁
3.過度の便の貯留の既往
4.痛みを伴う、あるいは硬い便通の既往
5.直腸に大きな便塊の存在
6.トイレが詰まるくらい大きな便の既往
随伴症状として、易刺激性、食欲低下、早期満腹感などがある。大きな便の排便後、随伴症状はすぐに消失する。
乳児では、排便が週2 回以下、あるいは硬くて痛みを伴う排便で、かつ診断基準の少なくとも1 つがある場合。

4 歳以上の小児では、以下の項目の少なくとも2 つ以上があり、
1.1 週間に2 回以下のトイレでの排便
2.少なくとも週に1 回の便失禁
3.便を我慢する姿勢や過度の自発的便の貯留の既往
4.痛みを伴う、あるいは硬い便通の既往
5.直腸に大きな便塊の存在
6.トイレが詰まるくらい大きな便の既往
診断前、少なくとも2 か月にわたり週1 回以上基準を満たす。

小児外科
小児の便秘症は決して珍しいものではありません。およそ1/10人かそれ以上の頻度と考えられており、腹痛で病院を受診するお子さんの30~40%が便秘症とも言われ、小児の専門学会からは便秘症に対する診療ガイドラインが提示されているくらいです(小児科慢性機能性便秘症診療ガイドライン-日本小児栄養消化管肝臓学会)。離乳食の開始や終了の頃、トイレトレーニングの頃、学校へ通い出した頃に慢性便秘症が始まりやすいとされています。便が溜まり直腸が拡がることに慣れて便意が起こりにくくなる機能的な面と、便が硬くなり排便時に痛い(きれ痔)ため我慢をするという意識的な面から悪循環に陥ることがあります。便秘症の治療は、まず食事指導・運動・トイレトレーニングなどの保存療法から始め、次に数種類の下剤内服や浣腸などの薬物療法へと進みます。多くの患者さんは薬物法までで効果がみられ、かかりつけの先生にその後の経過を診てもらうことが可能です。
しかし、注意しなければいけないのは、便秘症の中に手術が必要となる先天的な病気が時々含まれていることです。小児外科医が関わる便秘をきたす病気には、ヒルシュスプルング病(生まれつき腸を動かす神経細胞が腸にない病気)や、直腸肛門奇形(生まれつき肛門の位置が少しずれている病気)があります。直腸肛門奇形は小児外科医に診せていただければ診断はつきますが、病変が極めて短いヒルシュスプルング病の場合は確定診断がなかなか難しく、下剤による治療を続けても効果が見られない時に精密検査を行います。具体的には注腸造影(X線で見ながら腸を造影し、形や走行などをチェックする)や、直腸内圧反射検査(正常ならば直腸に便が来た時にみられる反射があるかチェックする)、直腸粘膜生検(直腸の粘膜を採取し、顕微鏡の検査で神経の有無をチェックする)などです。ヒルシュスプルング病と診断がつけば手術療法が検討されます。手術方法は病変の長さにあわせていくつかあり、最適なものを選択します。腹腔鏡による手術も行っております。
これら一連の診療を当科では小児外科専門医が行っていますので、保護者の方も安心して受診して頂けます。お子さんが便秘でお悩みの方はお気軽にご相談ください。