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熊本市民病院外科
一般成人の大腸の長さは1.5m<程といわれています。同じ大腸がんでもできる場所によって、例えば、大腸の右側であれば貧血やしこりを触れる、左側であれば腹満・便秘ついには腸閉塞、更に肛門側に近づくと便に血が混じる等、症状が多少異なります(図1)。できることならこのような症状が出る前に、診断に至りたいものです。

大腸がんから出て便中に含まれるであろう僅かな血液を感知する簡便な検査に、便潜血検査というものがあります。大腸がん検診に活用されています。便潜血陽性であった(便中に僅かな血液が含まれる)場合、更に詳しい検査が必要となります。ただし、便潜血検査が陽性であった方が全て大腸がんである訳ではありません。大腸ポリープ・腸炎・痔疾患その他で陽性となる場合、結果的に原因がはっきししない場合、が大多数です。
すでに、便潜血検査陽性の方が100人いたとしますと、大腸がんであった方はせいぜい1~2人であります。
一方、便潜血陰性であっても必ずしも安心してよいという訳ではありません。大腸がんから常に出血している訳ではないからです。今注目を集めているPETも大多数の方から早期大腸がんを効率良く見つけ出すには、煩雑で余りに高価な検査法です。
残念ながら早期に診断に至る簡便かつ安価で確実な診断方法はありません。まめに検診や人間ドックなどを活用しつつ、上述の症状を自覚する場合や血の繋がった家族・親戚に癌患者が多い場合は、医師に相談されるのが現実的な方策でしょう。
肛門から長さ1.3m程の内視鏡を挿入して大腸を直接診る大腸内視鏡検査、もしくは、肛門からバリウムと空気を注いで大腸内を間接的に診る注腸造影検査が行なわれます(図2)。最終的には、内視鏡下に病変の一部を、可能であれば病変全部を取り出し、顕微鏡で癌細胞が無いかを調べることになります(生検)。

必要があれば、大腸がんの近くある臓物に食いついて(浸潤して)いないか、遠く離れた臓物に転移していないか、胸部X洗検査、CT検査や腹部エコー検査で詳しく調べていくことになります。
手術療法(内視鏡的治療を含む)、 化学療法、 放射線療法、 その他の4種類があります。
大腸にある大本の癌に対する治療、転移に対する治療、再発を予防するための治療、その他の4種類があります。
癌の広がりが限られている場合には手術療法と放射線療法が、癌が全身に広がっている場合には化学療法が行なわれます。免疫療法もありますが、まだまだ十分な効果は得られていません。何故ならば、患者さん自身の分身ともいえる癌は、免疫によって取り除かれる異物とはみなされがたい、且つ、癌をもつ患者さんはすでに免疫が衰えた状態にある、からです。その他、癌は遺伝子の病気であることから、特殊な施設では遺伝子治療が試みられています。まだまだ有効性を評価できる段階には至っていません。
進行癌はいうまでもなく、早期癌であっても、大本の癌病巣から離れた部位に血液の流れ・リンパの流れに沿って、癌が広がっている場合があります。癌を手術で十分に取り除いた後、この様な広がりをコントロールするために行う治療を、術後補助療法といいます。その目的は、再発を防ぐことにあります。その治療手段として、化学療法、放射線療法等が挙げられます。しかし、再発する確率や抗癌剤・放射線の効き具合(感受性)を事前に知ることは未だもって困難です。将来的には、遺伝子診断等による予測が可能となることでしょう。そうなれば、必要のない治療を避けることが可能となり、副作用や医療費削減の点からも朗報となります。
一方、術前補助療法というものもあります。高度に進行した癌に対し、術前に化学療法や放射線療法を行うことによって癌を小さくしてしまうことが狙いです。切除できなかったものが切除可能になったり、更には、小さな手術で切除することが可能となることもあります。
癌の進行の程度(病期)によっては、化学療法が必要となります。大腸がんで通常行なわれる化学療法は、5-エフユー(5-FU)という抗癌剤とその効果を高めるビタミンの一種:ロイコボリン(LV)とを併用するものです。状況によっては5-FU+LVに、本邦で開発されたカンプトテシンあるいはオギザリプラチンという抗癌剤を加えた化学療法を行う場合もあります。
抗癌剤は細胞の増殖速度が速いものに多く取り込まれます。一般に癌細胞は細胞の分裂増殖が盛んであるために、効果が期待される訳です。しかし、正常なヒトの体にも分裂増殖の盛んな細胞があります。血液(血球)の元をつくる骨髄内の幹細胞、消化管、生殖系、毛根にある細胞等です。当然ながら、これらの細胞にも抗癌剤は多く取り込まれ、影響を受けることになります。ですから、骨髄抑制、嘔気・嘔吐、下痢、そして脱毛などの副作用が現れることになります。副作用と呼ばれますが、増殖速度の速い細胞に取り込まれて作用するという抗癌剤の性質を考えるなら、本来の作用といえます。
但し、化学療法が終了すれば、多くの副作用は速やかになくなります。完全に回復するまで数カ月以上を要する場合もあります。その一方で、個人差というものがあります。人種間で、あるいは同じ日本人でも副作用が強く出る人がいます。大腸がんに対してよく使用される抗癌剤に5-エフユー(5-FU) がありますが、これを分解する酵素が生まれながらに欠損している人では、5-FUの毒性が強くでます。人口の約3%程度にみられますが、特殊な検査をしないと判りません。