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ひ尿器科 桑原朋広
前立腺は膀胱の下にあります。くるみ程の大きさで中心に穴が空いており、尿はこの穴を通り、尿道を通って外に出されます(図1)。また、前立腺は男性だけに存在し、精液を分泌して、精子の運動を助けています。
![]() 図1 |
前立腺は内側の内腺と外側の外腺に分かれています。前立腺がんが主に外腺に発生するのに対し、前立腺肥大症は内腺が大きくなったものです(図2)。老年期に性ホルモンのバランスが崩れることで肥大が始まります。50歳で50%、65歳で70%、80歳で90%の方に前立腺肥大症はみられ、そのうち4分の1の方は治療が必要です。
![]() 図2 |
(症状)
大きく排尿症状(おしっこをするときの症状)と蓄尿症状(おしっこを貯めるときの症状)に分けられます。排尿症状は、前立腺内の尿の通り道が圧迫されることが原因で起きる、尿勢低下(おしっこの勢いが弱い)、腹圧排尿(お腹に力をいれないとおしっこが出ない)、残尿感(おしっこが残った感じがする)などです。蓄尿症状は、肥大した前立腺により膀胱が刺激を受け敏感になることが原因で起きる、頻尿(おしっこが近い)、尿意切迫感(尿意を感じたらすぐにトイレにいかなければならない)、下腹部不快感などです。症状の程度を調べる問診票(図3)で、中等度以上の症状(合計8点以上)があれば、泌尿器科への受診をおすすめします。
![]() 図3 |
(検査)
まず、おしっこを顕微鏡で見る検査で、菌はついてないか、血は混じってないかを調べます。そして、症状をお聞きし、超音波検査(エコー)にて前立腺の大きさ、残尿(尿の残り)を測定します。いずれの検査も簡単で体に負担のかかるものはありません。
(治療)
大きく以下の3つの治療法に分けられます。
![]() 図4 |
アメリカやヨーロッパでは、前立腺がんはすでに男性のがんの中で最も多いがんとなっています。日本でも急激に増えており、2020年には肺がんに次いで2番目のがんになると予想されています。増加の要因として、食生活の欧米化(脂肪の過剰摂取、緑黄色野菜の不足)、社会の高齢化(前立腺がんが高齢者のがんであるため)、診断技術の進歩(早期のがんがたくさん見つかるようになったため)などが考えられています。
(症状)
前立腺がんの多くは外腺から発生し、早期のうちはがん特有の症状はありません。がんが進行して尿の通り道を圧迫するようになると、前立腺肥大症と同じような症状がでてきます。さらに進行すると、がんが骨に転移して、腰や手足の痛みが現れるようになります。
(検査)
初期には症状がないため、早期のがんを発見するのはとても困難でした。しかし、腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)検査の登場により早期のがんの発見率は飛躍的に向上しました。前立腺がん検診はこのPSA検査で行われていますが、検診実施率の高いアメリカでは転移のある患者さんが激減しました。残念ながら、日本での検診実施率は低いのが現状です。発見率が他のがんの約10倍(100人の検診で1人以上見つかる)と高率であることも合わせて考えますと早期の普及が望まれます(図5)。PSAは4以下が正常であり、10で3分の1の方、20で半分の方、50以上ではほとんどの方に前立腺がんが発見されます(図6)。
PSAの値で前立腺がんを疑った場合、前立腺生検(麻酔をして前立腺から組織を細い針で採取し、がんがないか顕微鏡で調べる検査)を行います。
前立腺がんが確定した場合、画像検査で、前立腺の外に広がっていないか、転移(主に骨、リンパ節)はないかを調べます。
![]() 図5 | ![]() 図6 |
(治療)
全身への治療であるホルモン療法と前立腺そのものへの治療である手術療法、放射線療法に分けられます。
当院では限局がんの場合、可能な限り手術療法を行い、PSAが上昇し再発が疑われる場合は放射線療法を行い、さらに上昇した場合はホルモン療法を行う方針です(図7)。
前立腺がんは早期に発見されれば、生命に関わらない病気です。そのために是非ともPSA検査をお受けください。PSA検査に関してのご相談は当院地域連携室(096-365-1711)にお願いいたします。
![]() 図7 |