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神経内科 橋本洋一郎
脳卒中には、(1)脳梗塞、(2)脳出血、(3)くも膜下出血、(4)一過性脳虚血発作があります(図1)。脳梗塞は脳血管が閉塞することによって脳が壊死する病気です。脳出血の多くは高血圧が原因で高血圧性脳出血と言われることが多く、高血圧にならないような生活習慣の修正、あるいは高血圧の治療で予防が可能です。くも膜下出血は、脳動脈瘤の破裂や脳血管の奇形からの出血で起こります。一過性脳虚血発作(脳梗塞の前触れ発作)は、3人に1人が脳梗塞になると言われており、精密検査をして原因を調べて脳梗塞予防を行います。
![]() 図1 |
脳梗塞の5つの症状として、(1)急な半身の脱力・しびれ、(2)急な言語障害・意識障害、(3)急な視力障害、(4)急なめまい・ふらつき・歩行障害、(5)突然の激しい頭痛、があります。脳梗塞疑いの場合には、(1)顔面 (笑って左右差がないかどうか)、(2)腕 (掌を上に向けて両側の腕を水平に挙げて目をつむって一側の腕が落ちないかどうか)、(3)言葉 (「生き字引」といった簡単な言葉を復唱して呂律が回らないか、正確に復唱できていないかどうか)の3点をチェックしてください。脳梗塞の症状がでたらすぐ専門病院を受診下さい。
生活習慣病の進展と対策を(図2)に示します。(1)不適切な生活習慣、(2)境界領域期(メタボリック症候群)、(3)危険因子としての生活習慣病、(4)疾病としての生活習慣病 (この中に脳梗塞が含まれます)、(5)要介護状態、といった形で進展していきます。食習慣、運動習慣、休養習慣、嗜好習慣(喫煙、飲酒)などの生活習慣は修正可能です。また脳卒中の危険因子で修正可能なものには、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満などの生活習慣病があります。修正不可能なものとしては、年齢、性別、人種、遺伝的素因などがあります。
![]() 図2 |
脳梗塞では、病巣の検出、血管や心臓の評価が必要です。
一般的な脳梗塞治療の流れを(図3)に示します。脳梗塞急性期の治療で必要なことは、(1)CT・MRIの24時間稼働、(2)rt-PA (アルテプラーゼ:血栓溶解薬)静注療法、(3)臨床病型に応じた急性期治療、(4)入院当日から二次予防の開始、(5)早期離床・早期リハビリテーション、(6)感染対策、(7)栄養管理、(8)血管内治療・外科治療です。発症後3時間以内で一定の条件を満たせば血栓を溶かす治療(rt-PA:アルテプラーゼ)が可能です。脳梗塞の薬物療法を以下に示します。抗血栓療法を中心に治療しますが、出血合併症が問題となります。慢性期には内服の抗血栓薬で再発予防を続けます。
![]() 図3 |
脳梗塞のリハビリテーションには、理学療法、作業療法、言語療法、心理療法があります。これらのリハビリテーションを急性期は急性期病院(救急病院)、回復期(発症から1~3週間以降)はリハビリテーション専門病院、維持期(発症から3~6ヵ月以降)は自宅、施設、療養型病院で行います。
![]() 図4 |
脳梗塞の予防は生活習慣病の進展に応じて対応策が違ってきます(図2)。脳梗塞の危険因子で頻度の高いものは、(1)高血圧、(2)糖尿病、(3)心房細動、(4)喫煙、(5)高脂血症です。一方、脳梗塞予防で一番効果があるのは禁煙ですし、理想体重の維持や運動も重要です(図5)。是非、これらの治療を組み合わせた多角管理をかかりつけ医の先生と相談しながら実践して予防してください。予防に勝る治療はありません。また日本脳卒中協会が作成しました脳卒中予防十箇条を肝に銘じていただければと思います(図6)。健康日本21では、1日350gの野菜摂取を推奨しています。また日常生活による歩数の目標値として、成人の男性9,200歩、女性8,300歩、高齢者の男性6,700歩、女性5,900歩を示しています。
![]() 図5 | ![]() 図6 |