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心筋梗塞にならないために

熊本市民病院内科部長 木村義博

市民のための健康講座(平成18年5月18日)より

 急性心筋梗塞は、心臓(心筋)に酸素と栄養を供給している冠動脈が血栓などにより閉塞し、心筋の一部が壊死してしまう病気です。原因としては主に動脈硬化、高血圧、糖尿病、高脂血症などの病気から引き起こされことが多いのですが、健康体である人からもストレス等が原因で突然病気が現れることもあるので決して油断できません。

 臨床症状としては、1)20分から30分ほど続く胸痛、圧迫感です。同じ胸痛でも狭心症の場合は数分前後で、持続時間の違いが大きな目安です。また高齢者や糖尿病の方は胸痛が出ないこともあります。2)冷や汗、3)吐き気などです。

 治療は閉塞した冠動脈を再開通させ(再灌流療法)、心筋の壊死を最小限にし、不整脈やポンプ失調の出現を防止することです。再開通は早いほど良く、治療開始は6時間以内が有効とされています。心筋梗塞が疑われる時は一刻も早く救急車を呼ぶことが大事です。

 再還流療法には詰まった血栓を吸引したり、注射で溶かす方法や、血管内に細い管を入れて、詰まった部位を風船(バルーン)で拡げるPTCA(風船療法 図1)、外科的には冠動脈バイパス術などがあります。ところで最近では風船療法に加えて、ステントという金属の筒のような補強具が使用されるようになりました(図2)。風船療法だけでは不充分なため、病変部を再拡張する方法で比較的良い成績を収めています。また再狭窄防止の薬をつけたステントも狭心症などに使用されています。一般には2ないし3週間で退院となり、数ヵ月後に冠動脈再狭窄の評価を実施したりします。


図1

図2

 以上のように、心筋梗塞の治療にはいくつかありますが、日頃から予防することが最も大事なことです。まず、タバコを吸わないことです。喫煙にて血液が濃縮したり、血圧や脈拍が上昇して動脈硬化を促進させるからです。飲酒も控えたほうが良いと考えられます。塩分については、最近の調査では、1日の摂取量が再び増加しており減塩の必要があります。体重コントロールも大事なことです。1日1回は体重測定を行い確認することが大事です。また適度な運動をすることも必要です。中高年の方にはウォーキングが適しています。マイペースで行い激しい運動は避けて下さい。

 さらに大事なことはストレスをためないことです。規則正しい生活を行い、没頭できる趣味を持ったり、休養をとったりしてくよくよしないことです。

 食事療法のポイントは、コレステロールを多く摂り過ぎないようにすること、カロリーを多く摂取しないようにすること、動物性脂肪でなく植物性脂肪を摂ること、たんぱく質は良質なものを摂取すること(例えば、大豆、豆腐、魚、卵、牛乳、赤身肉、ささ身など)、さらに食物繊維を多めに摂ることです。例えば、芋類、豆類、海藻、根菜類、こんにゃく、椎茸、かんぴょう、ごぼう、おから、きくらげなどで1日350gの摂取が推奨されています。

 毎日のちょっとした心がけで心臓病は予防できます。塩分を減らした日本食が長寿食です。生活習慣病への対策などが十分に出来ているか、また、自分の健康についてもう一度考えてみることが大切ではないでしょうか。