(図1)
 | 近年、食生活をはじめとした生活習慣の欧米化に伴って、足の動脈硬化の病気が急増しています。 足に行く血管が動脈硬化になると、血管の壁が厚くなることによって徐々に内腔(血液の通るスペース)が狭くなります。これは5~10年あるいはそれ以上の年月を経て進んでいきます。左に閉塞部位別の大まかな頻度を記載しています(図1)。 |
(図2)
 | この結果、足先に行く血流が低下していろいろな症状がでてきます。これは飛行機の飛行高度にたとえるとわかりやすく説明できます(図2)。 健康な人を飛行高度9000m~1万m(ちょうど旅客機の巡航高度にあたります)を飛行していると考えてください。血流が低下して一般に7000mを切ると、黄信号つまり間欠性跛行という症状がでてきます。これはじっとしているときは何ともないけれども、ある一定距離を歩くと足が痛くなって休まなければならないという症状です。飛行高度が低いほど歩ける距離も短くなるというわけです。さらに低下して一般に3000mを下回ると歩かなくても足が痛くなり(安静時疼痛)、さらに飛行高度が下がると、ついには足にきず(潰瘍)ができたり、腐ったり(壊死)して、最終的に足全体を切断せざるを得なくなります。 とくに飛行高度が3000mをきると(赤信号)、雨雲や雷がなったりして容易に墜落(壊死→切断)しやすくなります。雷や雨雲はちょっとしたけが,やけど,深爪などを意味します。この第III度と第IV度をあわせて重症虚血肢といいます。 |
(表1)
 | 原因が動脈硬化ですから、一般的には急速に悪化することは少ないと考えられます。ただし、喫煙者,糖尿病の人,透析を受けている人はエアポケットに入りやすい,すなわち危険因子となり急速に悪化することがあるので注意が必要です。 飛行高度の調べ方(診断)には、種々の方法があり。複数の方法で総合的に診断します(表1)。 |
(表2)
 | 次に、飛行高度の低下した機体を再び上昇させる,すなわち治療のお話です。表2に治療の原則を記載しています。 あまり飛行高度が低くなく、自覚症状が軽度であれば、必ずしも飛行高度を9000m以上に上げる必要はありません。むしろその飛行高度を維持することが大切です。これには薬物治療や運動療法があります。ただし飛行高度が3000mを切るような赤信号の人はすぐにでも飛行高度を上げてあげないと墜落してしまいます。これにはめづまりした血管(動脈)を押し広げる突貫工事(血管内治療)と手術で別ルートを作るバイパス工事(バイパス術)とがあります。いずれを選択するかはめづまり具合,めづまりしている場所,患者さんの全身状態などに左右されます。 |
(表3)
 | 治療法にはほかにも種々ありますが、表3に各種治療法とその位置づけ示しています。これらは各々独立した治療ということではなく、互いに連携あるいは補完しあって、多くの場合同時に行われます。ただし重要な点として飛行高度が絶対的に低ければ傷は絶対治りません。表3の中で飛行高度を飛躍的に上げることのできる治療は本格的治療である血行再建術のみです。 |
(表4)
 | さて、一度飛行高度を上げることができたら、今度はそれを再び低下させないこと,すなわち再発予防が大切です(表4)。これには、全身管理としての禁煙やリスクファクターである糖尿病,高血圧,高脂血症などのコントロールが重要です。同時に、局所管理としてフットケアやフットウェアが大事です。特に飛行高度の低かった方はなんとか機体を修復させて飛行しているので、再発予防はかかせません。 足を大切にして歩けるようになることで、生活習慣病である足の動脈硬化から逃れられることが期待できます。 |