 | お口の中におこる歯周病と全身的な病気にはどのような関係があるのでしょうか。 ここに、歯周病でよくみられる症状をあげてみました。 ひとつ注意していただきたいのが、自分ではここにあげたような症状を自覚していなくても歯周病になっていることがあるということです。 また逆に、ここにあげた症状があっても、原因が歯周病でない場合もあります。 ひとつの目安として見てみてください。 |
 | 歯周病はどのように進行していくのでしょうか。 1日歯を磨かなかったりすると、歯の表面がザラザラしたりすると思いますが、それが歯周病の原因となる細菌の塊である、プラークです。 プラークは、ほんの少し、耳掻きですくったくらいの量のなかに、何十億個もの細菌が存在します。 歯周病は図に示すように進行していきます。 歯周病が進行すればするほどお口の中の細菌の数は増加し、常にお口の中が炎症状態になります。 炎症が起こっているところは血管が増殖するため赤く腫れ、少しの刺激で出血しやすくなります。 出血しやすくなるということは、そこからお口の中の細菌が血管に入り込み、全身にめぐりやすくなるということです。 たとえ、歯周病がお口のなかの病気だとしても、全身的にあまり良い影響を与えないことはお分かりいただけると思います。 |
 | 歯周病が影響を及ぼす疾患には図に示すようなものがあるといわれています。 |
 | 糖尿病と歯周病はお互いに悪影響を及ぼしあっています。 つまり、糖尿病があることで歯周病を悪化させ、逆に歯周病があることで糖尿病を悪化させるのです。 歯周病はどうして糖尿病に悪いのでしょうか。 前述したように、歯周病があるということは、常に歯ぐきが炎症をおこしているということです。 歯ぐきが炎症をおこしている部分からは色々な物質が産生されます。 その中でもTNF-αという物質は、インスリンがブドウ糖を細胞に取り込む働きを邪魔すると言われています。 それにより、高血糖の状態を助長してしまうのです。 |
 | では逆に、糖尿病はどうして歯周病に悪いのでしょうか。 糖尿病の症状として、体の免疫力に関係している、白血球の機能が低下する、というものがあります。また、血液の流れが悪くなったり、コラーゲン繊維がうまく作られない、というものもあります。 歯周病は細菌の感染により起こるものなので、白血球の働きが低下すると、免疫力が落ちるということなので、感染しやすくなります。また、その白血球を運んでいるのは血液なので、その流れが悪くなるということは、ますます白血球が働きにくくなるということです。 そして、コラーゲン繊維がうまく作られないと、一度炎症をおこして壊れてしまった歯ぐきなどの組織が、うまく再生されないのです。 このようにして、糖尿病になると歯周病になりやすくなり、治りにくくなってしまいます。 |
 | 歯周病と虚血性心疾患はどんな関係があるのでしょうか。 歯周病が虚血性心疾患の直接の原因になるわけではなく、すでに冠動脈に存在する動脈硬化を悪化させるといわれています。 この2つの関係についてはまだ研究途中の部分もあるのですが、ある種類の歯周病が直接動脈硬化を悪化させたり、歯周病の炎症が起こっている部分から出てくる物質が動脈硬化を悪化させると言われています。 |
 | 続いて感染性心内膜炎ですが、この病気は、日常生活を普通に送っておられるようなかたがかかることはまずありません。 大きな心臓手術で感染に弱くなっていたり、介護を必要とするような体の免疫力の下がった高齢者の方などが抜歯などの外科処置をした時に、傷口から細菌が入り込み、心臓の内側の膜に感染し、心臓の働きが悪くなることがあります。 重度の歯周病の方ほど、細菌の数が増えるため、発症のリスクも高くなるのです。 |
 | 誤嚥性肺炎とは、肺炎の一種なのですが、その原因が、誤嚥によりおこるものです。 誤嚥とは、唾液や食べ物、飲み物など、本来は気管に入るべきでない物が誤って気管に入ってしまうことです。 誤嚥性肺炎は、普通に日常生活を送れるような方がかかる病気ではなく、体の抵抗力がさがっている、介護を必要とするような高齢者の方や寝たきりの方などがかかりやすい肺炎です。 誤嚥を起こす場合、その細菌も一緒に誤嚥するため、お口の中の細菌の数が多いほど誤嚥する細菌の数も増え、より肺炎を起こしやすくなってしまうのです。 |
 | 骨粗しょう症は骨の量が減って骨が脆くなり、骨折しやすくなったりする病気です。 歯周病は歯を支えている骨が溶かされる病気なので、骨粗しょう症で歯の周りの骨もスカスカになっていたら、歯周病はより簡単に進行してしまうのです。 |
 | 最後に低体重児出産と歯周病のかかわりについてです。 詳しい仕組みはまだ研究段階の部分も多いのですが、歯周病で炎症が起こった部分から作られる物質が、子宮の収縮を促し、早産を招くことで、結果として低体重児の出産になると言われています。 |
 | ここまで色々と説明してきましたが、全身的な病気と歯周病が関係しているということがわかっていただけたと思います。 歯周病予防には毎日の歯磨きや、歯科医院でのケアがありますが、特に毎日のお家での歯磨きが重要です。 歯周病の原因は細菌の塊である、プラークです。 このプラークはバイオフィルムと言われる、細菌の層を形成しています。 バイオフィルムとは、例えば、配水管の表面にヌルヌルとしたものがつくのがわかると思いますが、あれと同じようなものです。 水や薬などで洗い流すことはなかなかできません。 そこで、定期的に、歯ブラシなどで機械的に除去する必要があります。 皆さんはご自分で歯を磨いていらっしゃると思いますが、残念ながら、毎日歯を磨いている方でも、ちゃんと磨けている方はほとんどいないと言ってもいいくらいなのです。 歯磨きにはいろいろなコツがあり、歯ブラシひとつとっても、その人その人で使うものが変わってきます。 一人一人に合った歯の磨き方や歯ブラシの選び方は歯科医院に行って、客観的にお口の中を診てもらい、教えてもらうのが一番の近道になってきます。 お口の中の健康の為にも、全身的な健康の為にも是非、歯科医院に行って、まずは歯の磨き方からチェックしてもらってください。 |