胃がんについて

2015.01.13

消化器内科 岩﨑 智仁

はじめに

現在,死亡数・死亡率を死因順位別にみると悪性新生物が第1位で,約3.5人に1人が悪性新生物で亡くなっています。また,それは年々増加傾向です。悪性新生物を臓器別にみると,胃がんは男女ともに第2位となっています。つまり,胃がんは特別な病気ではなく,誰にでも起こりえる病気であると言えます。
まず,我々にできることは,胃がんの危険因子を把握し予防すること,根治可能な時期に発見することです。

胃がんとは

胃の壁はいくつかの層に分かれています。胃がんはその最も内側の層(胃液や粘液を分泌する粘膜)の細胞が,様々な要因により変異しがん細胞となったものです。また,胃がんは顕微鏡での検査によりいくつかの型に分類されます。同じ胃がんでも,その型により少しずつ性格が異なり,治療方法・治療効果などに差異があります。

胃がんの原因

現在,確実な危険因子としては喫煙,H. Pylori感染が挙げられます。特に,H. Pylori感染については,非感染者に比べがんの危険度は5.1倍と高値です。他に,塩分の摂りすぎ,糖尿病等も危険因子としての可能性が言われています。逆に胃がんの抑制因子としては緑茶,野菜,果物が考えられています。
*現在,H.Pylori感染については除菌療法が保険適応となっています。除菌により胃がん発生の危険度は低下します(完全に胃がんを抑制することはできません)。

胃がんの症状

主な症状としては,胃痛・胃部不快感,胸焼け,嘔気,食欲不振,げっぷの頻発などが挙げられます。しかし,いずれの症状も胃がん特有の症状というわけではありません。また,早い段階ではほとんどの場合無症状で,進行しても無症状の場合もあります。

診断

まずは,何らかの症状が認められた場合は早めに医療機関を受診してください。
必要に応じて各種検査が選択されます。現在,胃がんの可能性があると判断された場合,多くのは上部内視鏡検査が選択されます。内視鏡検査で胃がん(疑いを含む)と診断されれば,がん組織を採取し,組織検査(顕微鏡での検査)を行い胃がんと確定診断を下します。胃がんと診断が確定した場合,治療方針を決定するために造影CTやPET-CT検査などを行い転移の有無等を調べます。

胃がん1

治療

胃がんの治療は,がんの進行度(病期,stage)に基づいて決定されます。現在,内視鏡的治療,手術療法,化学療法(抗がん剤治療)の3つが中心となっています。

胃がん2
胃がん3

現在,胃がんは,早期に発見し適切な治療を行えば根治可能な病気となっています。胃がんの予防に努めるとともに,定期的な検査を受けること,何らかの違和感・症状を感じたらすぐに医療機関を受診することが重要です。

当院での胃がんについての取り組み

当院では,胃部の違和感を主訴に受診された患者さんには,積極的に内視鏡検査をお勧めしています。その結果,超早期がんの発見につながるケースもあります。また,病期にもよりますが,内視鏡的治療にも積極的に取り組んでいます。
現在,消化器内科,外科,臨床病理科を中心に,各症例に対して診断・治療選択および治療結果について定期的に検討会を開き,相互に連携をとって診療にあたっています。