肥満とメタボリックシンドローム

2015.03.16

代謝内科 櫨川岩穂

概念

メタボリックシンドロームは内臓肥満、インスリン抵抗性・高血糖、脂質代謝異常、血圧上昇といった、動脈硬化性疾患と2型糖尿病発症のリスクが個人的に集積した病態です。一見病気とは思われない程度の異常、あるいは正常値をわずかに超える程度の異常であっても、個人に集積すれば上記の危険因子(心血管疾患発症および心血管死のリスクが1.5〜2倍、2型糖尿病発症のリスクが3〜6倍に増加)となるということです。もともと、冠動脈疾患の危険因子として知られるLDL(悪玉)コレステロール以外の危険因子として提唱されてきたこともあり、診断基準にLDLコレステロールは含まれません。なお、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、肥満症も各々が動脈硬化性疾患の危険因子であり(例えば糖尿病では約3倍、境界型糖尿病でも約2倍)、これらが“わずかな異常”にとどまらず治療域にある場合には、さらに深刻に受け止めて対応していく必要があります。

症状

腹囲、血圧などは自己測定可能ですが、一般に自覚症状はありません。

原因

肥満(特に内臓肥満)が中心的な役割をしていると考えられています。脂肪細胞は単に脂肪を蓄えるだけでなく、種々の悪玉物質を放出することが知られています。肥満症にはメタボリックシンドロームのみならず、多くの疾患が合併することも知られています。

診断のための検査

ウエスト周囲長(腹囲)が男性85cm以上, 女性90cm以上であり、以下の3項目のうち2項目以上に該当する場合にメタボリックシンドロームと診断されます。

  1. 中性脂肪(空腹時)150mg/dl 以上 かつ/または
    HDLコレステロール 40mg/dl 未満
  2. 収縮期血圧 130mmHg 以上 かつ/または 拡張期血圧 85mmHg 以上
  3. 空腹時血糖 110mg/dl 以上
    (上記に対してすでに薬物治療中の場合には、基準値以下でも該当として扱います)
  4. 治療と予防

    メタボリックシンドロームについていえば、肥満が中心的な役割を演じていますので、食事療法、運動療法などの生活療法で適正体重を維持することが重要です。加えて、動脈硬化を予防するという点では禁煙も極めて重要です。
    なお、検診などで指摘される場合にはメタボリック症候群というよりは高血圧症、糖尿病(または境界型糖尿病)、脂質異常症(高LDL血症を含めて)の合併にあたる場合も多々見受けられます。上述のとおり、この場合はさらなる病識をもって治療に取り組む必要があります。