アルコールと肝臓病

2015.03.27

消化器科 多田 修治

アルコール・肥満と肝臓病

アルコール性肝障害は1日3合以上の常習飲酒により起こる肝障害で、さまざまな病態が出現します。腹痛や発熱、黄疸がひどくなると出現しますが、健康診断などで肝機能(AST、ALT、γ-GTP)の上昇で発見される機会の多い疾患です。お酒に弱い人(アルデヒド脱水素酵素2活性欠損者)や女性では1日2合程度でもアルコール性肝障害になることがあります。

 肥満も肝臓に脂肪沈着を起こし、よく聞かれるように脂肪肝の状態を呈してきます。アルコール性肝障害も初期には、このアルコール性脂肪肝の病態を呈します。この時期は腹部超音波検査や血液検査で診断が可能です。また、この時点では禁酒により、超音波所見も血液検査の異常値も速やかに改善します。

 アルコール性肝障害も放置したまま、飲酒量が増加していきますと、肝細胞の風船化(ballooning)が起こり、禁酒できなければ、肝硬変に移行してしまいます。重症になると、肝性脳症や消化管出血、急性腎不全など重篤な病態を引き起こしてしまいます。

 1日3合以上の常習飲酒や、5合以上の大量飲酒が続くと、肝臓に繊維化が起こり、アルコール性肝線維症からアルコール性肝硬変に進展します。肝硬変になると、黄疸や、腹水、肝性脳症などが出現し、生活の質(QOL)が低下してしまいます。

 治療の基本は禁酒であり、その他の療法はあくまで補助的で、あまり有効ではありません。禁酒を行うことは、大変難しく、本人の固い決意と、周囲の温かい見守りが必要となります。常習飲酒者の方は、節酒する機会を増やし、1日3合を超える日をできるだけ減らす努力が必要です。

 肥満はアルコールとともに、肝臓にとって極めてよくありません。肝細胞の中に中性脂肪(トリグリセリド)が蓄積した状態で、肝臓の1/3以上に沈着すると脂肪肝の病態となります。超音波検査では、肝細胞内に沈着した脂肪が高エコーとして描出され、腎臓に比較して白く明るく見えます(bright liver)。

 脂肪肝も進行すると、脂肪肝炎から肝硬変へと進行してしまいますので、油断できません。脂肪肝は可逆性で、禁酒や減量と運動などにより、改善することができます。
減量や食事療法、アルコールの制限など、どれも大変ですが、日々こつこつと努力することが何より重要です。肥満とアルコールは相乗効果があるため、一方が改善すると、もう一方も改善に向かいますので、家族や友人と一緒に目標を達成することが成功の秘訣と思われます。